スラッシュ水素用密度計、流量計

スラッシュ水素用高精度密度計(固相率計)、質量流量計の開発


 液体水素などの単相液体では、液体の温度、圧力、体積流量を測定することにより密度や質量流量が容易に算出できる。スラッシュ水素の密度は固相率で変化するため固相率を直接測定する必要があります。

 高精度な密度測定と質量流量測定を目的とした新しい構造の密度計と質量流量計の開発を行いました [11, 12]。いずれも固相率が変化するときのスラッシュ水素の比誘電率変化、マイクロ波伝播特性の変化を利用します。

 液体中に固体粒子が混在する場合、静電容量型密度計では高精度化を図る上で固体粒子の挙動を考慮した独創的な電極構造が重要となります。上図に静電容量型密度計として単相液体用平行平板型(従来型)と開発したスラッシュ水素用平板・円筒型密度計の測定原理を示します。

 平板と2個の円筒を組み合わせた平板・円筒型は固体粒子が電極間に入り易く、構造が簡単で高精度が得られます(特許取得済)。静電容量型密度計の静電容量 Cと比誘電率 εの関係は、予め測定した静電容量係数 C0と無効静電容量 Cdを用いて上図に示す関係式がある。固体水素と液体水素の比誘電率 εsεlからスラッシュ水素の体積固相率を算出し、固体水素と液体水素の密度からスラッシュ水素の密度が測定できる。

 下図実験結果に示すように、平行平板型は固相率が大きくなると固体粒子が電極内に充分入ることができず測定精度が悪くなるが、平板・円筒型は密度に換算して ±0.5%の高精度が得られました。スラッシュ窒素では密度に換算して ±0.25%の高精度を得ています [5, 11,12]。

 マイクロ波型密度計は上図に示すように、送信、受信用マイクロ波アンテナで構成され、液体水素、スラッシュ水素中を伝播するマイクロ波の各々の位相変化の差 Δϕ= Δϕ2-Δϕ1と、液体水素、スラッシュ水素間の比誘電率変化 Δεには図に示す比例関係式がある。静電容量型密度計と同様の方法でスラッシュ水素の密度が測定でき、密度に換算して ±0.5%の測定精度が得られた。

 静電容量型、マイクロ波型質量流量計の測定原理は上図に示すように、配管内を流動するスラッシュ水素の密度と流速を測定して質量流量を測定する方法です。流速測定にはスラッシュ水素が配管内を流動する際、密度がわずかに変動することに着目している点に独創性があります

 流れに沿った配管の2箇所に静電容量型、マイクロ波型(導波管)の密度計を設置して LCRメータ*、導波管で密度を測定する。次に、2箇所の密度測定信号の相互相関関数が最大となる遅れ時間 τと密度計の設置距離 Lから流速 Vを算出し質量流量を測定する。

 静電容量型、マイクロ波型質量流量計のいずれも ±0.5%の密度測定精度が得られている。基準流速計の精度が ±5%であるため流速の測定精度が特定できていないが、原理的に ±0.5%程度の高精度な質量流量計が期待できます。

 * LCRメータ:インダクタンス(L)、静電容量(C)、抵抗(R)が測定できる。ここでは、静電容量のみを測定。

スラッシュ水素密度計(固相率計)の測定精度